2025年6月、社会学者・古市憲寿さんが「X(旧Twitter)」で公開した“確認書”が注目を集めています。
週刊文春の報道に対し、「加害者側の発言を鵜呑みにしている」との指摘を受けた古市さんは、その発言の真意と事実関係を明らかにすべく、当事者代理人に8ページにわたる確認書を送付。
冷静かつ理知的な対応に、ネット上でも賛否が飛び交っています。今回は、その送付の経緯や古市さんの立ち位置について掘り下げていきます。
送付の経緯:なぜ古市は確認書を送ったのか
発端となったのは、「週刊文春」2025年6月12日号に掲載された、いわゆる“X子さん”をめぐる記事でした。
その中で
「古市憲寿さんは私や代理人に確認もせず、“加害者”側の言い分を鵜呑みにしている」
とする記述が登場。
これに対し古市さんは、自身のSNSを通じて明確な反論とともに「確認書」を送付したことを公表しました。
この確認書は、X子さんの代理人弁護士宛に送られたもので、全8ページにわたる内容です。
古市さんは、報道で語られている「古市さんの発言」が具体的にどの部分を指すのかを問い、また“親しい知人”の証言に対する本人の認識を確認するよう求めています。
さらに「9000万円の解決金に関する事実確認」「示談書の情報漏洩の出所」「第三者委員会と中居正広さん側の見解の違い」など、計7項目を列挙し、6月18日までに回答を求める姿勢を示しています。
一方的に報じられることを避け、誤報や偏向報道が“冤罪”を生まないよう冷静に対応する古市さんの姿勢がうかがえます。
確認書の内容と狙い:問題提起された7つの論点
古市憲寿さんが送付した8ページにわたる確認書には、週刊誌報道の在り方や、関係者の言動に対する7つの重要な論点が整理されていました。
以下にそれぞれを見ていきましょう。
1. 「失恋事案」発言の有無を明確にしてほしい
週刊文春の記事では
「古市さんが加害者側の話を信じている」
とされましたが、古市さんは
「どの発言を指しているのか不明」と指摘。
本人(X子さん)の認識も確認してほしいと求めています。
まるで“伝聞の伝聞”がひとり歩きしているような状況に、一石を投じる内容です。
2. メディア報道が冤罪を生まないために
報道が誰かを「加害者」に仕立て上げるような危険性に対して警鐘を鳴らしています。
古市さんは、報道が人を傷つけ、誤った世論を生まないよう「報道倫理」の再考を促しています。
報道のインパクトが大きい現代だからこそ、この指摘は重い意味を持ちます。
3. 示談書の漏洩経路を明らかに
示談書の内容がなぜ、どのように外部に漏れたのか──その経緯と責任の所在を問う論点です。
プライバシーに深く関わる書類の流出は、当事者の尊厳にも関わる重大な問題です。
4. 「9000万円」の金額は本当か?
記事に記された「9000万円の解決金」の真偽を問いただしています。
この金額が一人歩きすれば、世論の印象を大きく左右しかねません。
センセーショナルな数字ほど慎重な確認が求められるのは当然です。
5. 見解の食い違いをどう捉えるか?
中居正広さん側の弁護士と、第三者委員会との間にある見解の違いについて、その根拠を確認するよう求めています。
立場の違いによる認識のズレが、誤解や分断を生んでいないかという冷静な視点が光ります。
6. 今後の事実確認のあり方について
この件に限らず、今後の報道においてどのように事実確認を徹底していくのか。
古市さんは情報の受け手にも、報じる側にも責任があることを示唆しています。
筆者としても、今後のメディアリテラシーを問う重要な論点だと感じました。
7. 回答と透明性の確保
古市さんはこの確認書に対し、6月18日までに回答を求めており、その内容も公開する予定としています。
透明性と説明責任を重視するその姿勢は、まさに「信頼できる報道」の在り方を体現しているように思えます。
このように古市憲寿さんの確認書は、個人的な防衛ではなく、報道の“構造”に対する冷静で誠実な問題提起と言えるでしょう。
古市憲寿の立ち位置とは?
古市憲寿さんは、テレビやメディアで率直な発言をすることで知られ、時には“空気を読まない”コメンテーターとも称されます。
炎上を恐れずに本質を突く姿勢は、今回の確認書送付という対応にもよく表れています。
週刊誌の匿名証言や一方的な情報に対して、古市さんは「それは事実なのか?」と真正面から疑問を提示。
さらに、自身のSNSプロフィールに記された「誰の味方にもなりません」という言葉どおり、特定の立場に偏らず、あくまで事実確認と公正な議論を求めています。

筆者自身も以前は「ちょっと突き放した人なのかな」と感じていたことがありますが、今回の姿勢からは、誰かに迎合せずとも“他者を傷つけないために必要な問いかけ”を重視する誠実さが伝わってきました。
報道が人を追い詰めかねない現代において、古市さんのように距離を保ちつつも責任を果たす立ち位置は、より大切になっていると感じます。
まとめ
古市憲寿さんが送付した確認書は、単なる反論ではなく、メディア報道における事実確認の重要性や、匿名証言の扱い方、情報漏洩の問題など、多くの根深いテーマを私たちに突きつけています。
彼は感情や立場に流されることなく、「誰の味方にもなりません」というスタンスで冷静に問題提起を行い、関係者の人権や公正な報道のあり方に真剣に向き合っています。
筆者としては、このような一歩引いた理知的な姿勢が、今のメディア社会に必要な「軸」の一つではないかと感じます。
報道やSNSが炎上や誤解を拡散させやすい時代において、古市さんのような“立ち止まって問う人”の存在は、今後ますます重要になるのではないでしょうか。
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