「アンパンマンの声の人」といえば、真っ先に名前が挙がるのが戸田恵子さん。
誰もが知る国民的キャラクター・アンパンマンを30年以上にわたって演じてきた名声優です。
しかし、実は戸田恵子さんが演じてきた名キャラクターはアンパンマンだけではありません。
アニメ・映画・吹き替え・特撮まで、戸田さんは数えきれないほどの作品で主要キャラクターの声を担当してきました。
この記事では、そんな“アンパンマン以外”の代表キャラクターを一挙に紹介し、戸田恵子さんの多彩な声の世界を改めて掘り下げていきます。
アニメで輝いた戸田恵子の代表キャラクター
戸田恵子さんは、80年代から90年代にかけて、数々のアニメでメインキャラクターを演じ、その存在感を発揮してきました。
特に印象的な4つのキャラクターを紹介します。
来生瞳(キャッツ・アイ)

1980年代の大ヒットアニメ『キャッツ・アイ』では、三姉妹の長女・来生瞳を演じました。
クールで美しく、時に大胆な行動も見せる魅力的なキャラクターで、戸田さんの低めの落ち着いた声がピタリとはまり、アニメの雰囲気を引き締めていました。
鬼太郎(ゲゲゲの鬼太郎・第3作)

1985年から放送された第3期『ゲゲゲの鬼太郎』では、主人公・鬼太郎役を担当。
少年役でありながらも神秘性や妖しさを漂わせる声の演技が光り、今なお「戸田鬼太郎」が一番好きというファンも多いほど。
女性声優ならではの中性的な声質が、キャラクターに新たな魅力を与えていました。
トーマス(きかんしゃトーマス・フジテレビ版)

幼い頃に見ていた「きかんしゃトーマス」の声が実は戸田恵子さんだった――そう気づいて驚く人も少なくありません。
フジテレビ版で初代トーマス役を務めた戸田さんは、元気いっぱいでややとぼけたトーマスのキャラクターを、優しい語り口で表現。
小さな子どもたちにも安心感を与えていました。
マチルダ・アジャン(機動戦士ガンダム)

『機動戦士ガンダム』では、アムロたちを支える女性士官・マチルダ中尉を演じました。
登場回数は多くないものの、彼女の毅然とした姿勢と芯のある声は、作品に深い余韻を残しました。
若い世代にも知られる名キャラの一人です。
このように、戸田恵子さんは「少年」「女性」「乗り物(!)」まで幅広くこなし、それぞれにぴったりの“声”を吹き込んでいます。
彼女の演技力があったからこそ、キャラクターたちは何十年経っても色あせずに記憶に残っているのかもしれません。
ジブリやディズニー作品でも存在感
戸田恵子さんの活躍は、日本のアニメ界だけにとどまりません。
世界的に有名なジブリ作品やディズニー/ピクサー映画でも、主要キャラクターの声を担当し、グローバルな作品の中でも日本語吹き替え版の魅力を高めています。
おソノさん(魔女の宅急便)

スタジオジブリの名作『魔女の宅急便』では、主人公キキをあたたかく見守るパン屋の女将・おソノさんを演じました。
戸田さんの柔らかく頼もしい声が、おソノさんの優しさとたくましさを見事に表現。
キキの成長を支える“お姉さん的存在”として、作品に安心感を与えるキャラクターでした。
サリー・カレラ(カーズシリーズ)

ディズニー/ピクサー映画『カーズ』シリーズでは、主人公ライトニング・マックィーンの恋人であるポルシェ・サリー役を担当。
知的でクールな一方で情熱的な一面もあるキャラクターを、滑らかなトーンで見事に演じ、作品に大人の魅力を添えました。
ボー・ピープ(トイ・ストーリーシリーズ)

『トイ・ストーリー』シリーズに登場する、羊飼いの人形・ボー・ピープも戸田恵子さんの代表的な役のひとつ。
特に『トイ・ストーリー4』では、それまでの柔らかな印象から一転、自立心あふれる力強いヒロインとして再登場。
その変化をしっかりと演じ分け、作品ファンからも高く評価されました。
ジブリやディズニー作品は、子どもから大人まで幅広い世代が観る作品。そこに戸田恵子さんの声が加わることで、キャラクターに“深み”と“親しみ”が生まれ、より豊かな物語体験が生まれています。
特撮・少女アニメ・劇場作品でも活躍
戸田恵子さんは、アニメや吹き替えにとどまらず、特撮ヒーロー作品や少女向けアニメ、劇場アニメなどでも幅広く活躍してきました。
いずれも作品を支える重要なキャラクターばかりで、その存在感は抜群です。
テアティーヌ(ヒーリングっど♥プリキュア)

『ヒーリングっど♥プリキュア』では、異世界ヒーリングガーデンの女王・テアティーヌを演じました。
温かく包み込むような母性を感じさせる声は、若い視聴者たちに安心感を与えるだけでなく、親世代の視聴者からも高い支持を得ました。
プリキュアシリーズの中でも「大人の女性らしい格のある声」として印象的な存在です。
ローザ・アフロディア(宇宙戦士バルディオス)

1980年代に放送されたロボットアニメ『宇宙戦士バルディオス』では、ヒロインのローザ・アフロディア役を担当。
冷静で凛とした雰囲気を漂わせるキャラクターで、当時としては珍しく知的で自立した女性像を体現。
戸田さんの落ち着いた声が、作品全体に大人びた雰囲気をもたらしていました。
オスカル・フランソワ・ド・ジャルジェ(劇場版ベルサイユのばら)

名作少女漫画を原作とした『ベルサイユのばら』の劇場版では、主人公・オスカル役を演じました。
男装の麗人として知られるオスカルの、強さと繊細さを併せ持った複雑なキャラクター性を、深みのある演技で表現。
劇場版という限られた尺の中でも、圧倒的な存在感を放っていました。
このように、戸田恵子さんはジャンルを問わず、作品に合わせてまったく異なるキャラクターを演じ分けています。
特撮や少女アニメなど、時代やジャンルに左右されない演技力はまさにプロフェッショナル。
どの役も“声だけでキャラクターを成立させる”という声優の本質を体現しています。
女優・戸田恵子の魅力も忘れずに
戸田恵子さんといえば声優としてのイメージが強い方も多いですが、実は女優としても長年にわたって第一線で活躍してきた実力派です。
テレビドラマや映画、舞台まで幅広く出演し、その自然体の演技で多くの視聴者を惹きつけてきました。
『ショムニ』徳永あずさ役でのブレイク

引用元:X
戸田さんの女優としての代表作といえば、1998年からスタートした人気ドラマシリーズ『ショムニ』。
彼女が演じた徳永あずさは、経理部出身のベテランOLで、冷静沈着ながらも心優しいキャラクター。
個性豊かな“ショムニメンバー”の中でも、落ち着いた存在として物語を支える役どころでした。
この役で戸田さんの知名度はさらに広がり、声優だけでなく“女優・戸田恵子”としても認識されるようになりました。
コミカルな演技からシリアスな場面まで幅広くこなすその演技力は、視聴者だけでなく共演者やスタッフからの信頼も厚かったといいます。
舞台・ナレーションでも活躍
また、舞台女優としても数多くの作品に出演。
声の美しさと表現力を生かし、ミュージカルやストレートプレイでも観客を魅了しています。
さらに、報道番組やドキュメンタリーのナレーションも多数担当しており、聞き取りやすく落ち着いた声は“安心感のある語り手”として高い評価を受けています。
戸田恵子さんは、声優としての枠を超え、マルチに活躍する“表現者”としての地位を確立しています。
その多才さとプロ意識の高さが、長年にわたる活躍を支えているのです。
まとめ
「アンパンマンの声の人」として知られる戸田恵子さんですが、その活躍は実に多岐にわたります。
来生瞳(キャッツ・アイ)や鬼太郎、マチルダ中尉、そしてジブリ・ディズニーの名キャラクターたち……どの作品でも、戸田さんの声はキャラクターの個性を的確に表現し、物語を豊かに彩ってきました。
また、女優としても『ショムニ』など数々のドラマや舞台で存在感を放ち、ナレーターとしても視聴者に安心感を届けてきた戸田恵子さん。
声優、女優、ナレーターと、どのフィールドでも第一線で活躍し続けるその姿は、まさに“表現のプロフェッショナル”です。
アンパンマンだけじゃもったいない!
戸田恵子さんの演じてきた魅力的なキャラクターたちを通して、彼女の幅広い才能にぜひもう一度注目してみてください。
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